ひろくんの映画ブログ

映画好きの大学生。映画は2時間座っているだけで人生が変わるかもしれない。それが映画の魅力だと思っています。 「映画のこれなら誰にも負けない」ところをみつけるためにブログをはじめました。 基本、映画レビューですがたまにブックレビューや雑談が入ります。

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【映画レビュー】『X-MENダークフェニックス』サイモンキンバーグの功罪相半ばした完結編。

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【サイモンキンバーグの功罪相半ばした完結編】

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 X-MENシリーズを振り返るとブライアンシンガー監督は1.2作目で監督をしたものの、完結編とされた3作目で急に降板、結果としてブレットラトナーが監督として出来上がった3作目も酷評に終わるという前科があるにも関わらず、

ブライアンシンガーが監督に復帰した『フューチャーパスト(以下FP)』で再出発した新シリーズは完結編『ダークフェニックス(以下DP)』にきて再び監督を降板するという、ブライアンシンガー自身は再出発(リブート)できていない結果で終わってしまった。笑

 実際のところ全く笑い話にできないのが、彼は賞レースを賑わせた『ボヘミアンラプソティー』では撮影中にも関わらず現場に現れず降板しているわけであって、19年も続き自身を代表するX-MENシリーズですらこのような態度をとっているようでは、常に一貫しているMCUに買収されるのも納得かと。

 

 そこでMCUによる買収で強制終了のような状態で完結を余儀なくされたX-MENだが(そもそも『FP』『アポカリプス(以下AP)』で完結できたのに何故さらにもう1作品作らなければならないのかわからないため、強制終了と言えるか微妙ですが)、監督はブライアンシンガーに代わって『ファイナルディシジョン(FD以下)』から脚本に参加しているサイモンキンバーグが初監督を務めることになりました。

サイモンキンバーグという人物は『Mr. & Mrs.スミス』などの脚本で知られていますが、テレビシリーズではスターウォーズ 反乱者たち(以下 反乱者たち)』を手掛けていて、他にも大作エンタメのプロデューサーとして名を連ねているなど、多くの映画好きが知らないうちに彼が関わっている作品を見ていると思います。

 

 では初監督作品にして完結編というのは大丈夫なのか?と不安に思いましたが、

これが意外なことにかなり良くできていて正直ブライアンシンガーよりもX-MENむいているのでは?とすら感じるできでした!

それと同時にシリーズにある安定のダメなところはそのまま引き継がれてしまっているようにも感じたのも本音です。

 

 良いところも沢山あるので、まずは物足りなかった点を先に述べていきます。

 もうこれはサイモンキンバーグの監督業ではなく彼が長年手掛けている脚本に問題があるため、これはブライアンシンガーではなくサイモンキンバーグの責任だと言えるのが“整合性がないこと”

 『FP』でリブートしたとはいえ、シリーズ全体からすればその前作にあたる傑作『ファーストクラス(以下FC)』から始まった過去編シリーズなわけであって、その脚本を手掛けたマシューボーンは60年代を舞台にしているため当時の映画や音楽のエッセンスを取り入れていました(例:ショーンコネリーの007とか)。

それなのに『FC』でプロデューサーをしていたサイモンキンバーグが脚本を手掛けた『FP』では10年後の70年代を舞台にしているものの、ベトナム戦争という時代以外はいつも通りのX-MENで70年代感が薄いのは頂けない。こっちが期待していたというか、前作で用意した路線を完全に踏み外しているわけだし。

 一応、この点を擁護するならば『FC』の脚本を手掛けたマシューボーンも『FP』のストーリーに関わっているので、リブートをしなくてはならない複雑な脚本でそれを達成させる事は困難だったのかもしれない。

 だとしても『AP』は『FP』から10年も経過しているのに映画全体に80年代感などはなく、『FP』と同様にクイックシルバーの場面で流す音楽や、『ジェダイの帰還』を観に行く場面を取ってつけたように描いただけでした。クイックシルバーの場面もテンション爆上がりするので毎回やっても良いものの、単に前作でウケたから今作では長尺でやっただけとも感じられますが。)

しかもキャラクターのルックもそこまで変わっていないので、10年という時間の流れもわかりにくいくせに、前作の最後からなんの前触れもなく登場人物の設定や立ち位置がだいぶ変化していたりするという粗削りで不親切な点が目立ってしまったと思います。

 この10年という時間の経過の表現がいい加減すぎて、『FC』から『DP』まで実に“30年間の物語”だという事をすんなり受け入れにくくなってしまっている。

てか30年間の物語だって知っていました?笑

『DP』から10年でパトリックスチュアート、イアンマッケランに変化していくわけがない。。

 

 今回の『DP』でも90年代という設定は『キャプテンマーベル』のように時代感を描く演出はほとんど皆無で、キャラクターたちも前作から年を重ねている様子も分かりづらく、X-MENが大統領から仕事を引き受けているという過去作ではなかった大きな変化や、『AP』のラストでジーンと一緒に学校を直していたマグニートはX-MENに参加せずミュータントコミュニティを統治しているなど、前触れもなく立ち位置が大きく変化しています。

このマシューボーンが始めたものを全て無視する形で過去シリーズは『DP』まで駆け抜けたことで、マシューボーンが作り上げた“過去を舞台にしている”という過去シリーズの重要な基本設定を雑に扱うという点が改善されないまま完結してしまったことは今作というか過去編シリーズ全体を通しての残念だったポイントかと思います。

 

もう一つ残念に感じたのはこの内容が本当に完結編に相応しいものなのか?という点です。

ジーンの暴走、つまりダークフェニックスの登場はサイモンキンバーグが初めてシリーズの脚本を手掛けた『FD』で既に描いたことであるため、サイモンキンバーグとしてはリブートによってもう一度チャレンジしたかったのかもしれません。

でも『FP』でリブートという大きな転換点を迎えてからの、『AP』では最強の敵アポカリプスを登場させてキャラクター達を一致団結させるという構成だったということは、

アポカリプス=最強

アポカリプスにトドメを刺したのはジーン=さらに最強

アポカリプス<ジー

 

という図式でただ前作より強い敵を出しただけで蛇足感が否めない内容ですし、ましてや完結編としては非常に魅力にかける内容だったと言えるでしょう。

最近、『エンドゲーム』を見たからというわけでもなくシンプルに『DP』よりも派手だった作品は過去にもあったので、これが完結編という感じがしないんですよね。

 

 ここまでは残念な点を挙げてきたが、とはいえ決して駄作ではないということをプッシュしていきたい。

 まずX-MENシリーズがMCUと違う良さである【真似したくなる戦闘描写】が描かれていたこと。

「は?MCUもリアルだろ!?」

とMCUファンに怒られそうなので詳しく述べると、たしかにDCは【超人】という前提のキャラクター描写が中心なのに対して、MCUは【理屈】が常にキャラクター描写の中心に能力が描かれています。

とはいえ、サノスという紫の紅茶花伝みたいなキャラクターをアベンジャーズとぶつけるために10年間かけて『ガーディアンズオブギャラクシー』や『エイジオブウルトロン』にてヴィジョンを登場させるなど、少しずつリアリティラインを下げていき観客にゆっくりと『エンドゲーム』のラストの大団円を見ても興ざめされないようにしていく効果がありました。

 それに対してX-MENシリーズは手を伸ばすと超自然的な事が起きるというのが基本で、瞬間移動や状態変化をするものもいるが、基本的にカラフルなグラフィックがあるわけでもなく、地味目な超能力者バトルである。さらにスーツ事態も原作寄りになることがあったが、基本的に私服に近いもので、コスチューム感が低くリアリティ路線、悪く言えば地味目であった。

先ほどから地味だと連呼しているのが、そこが中二の心を押さえている!!

MCUだとまずスーツを着ないと始まらないのに対して、X-MENは右手をこめかみに添えるだけでプロフェッサーXになれるんですよ。。笑

(もちろんMCUだってDr.ストレンジの手をぐるぐるさせるやつもたまに一人でやっていますが。笑)

そう考えると今作『DP』では出てくる人物がクライマックス時は敵味方両者ともに完全私服で、あの雰囲気を味わえるのはX-MENならではの魅力であり、少なくともMCUに合流した後ではもう見ることができないのだと思うと、名残惜しさを感じ、できればMCUに参加してもサイモンキンバーグが関わって頂きたいです。

 

 てかMCUの親はディズニーだから、兄弟分のルーカスフィルム作品『反乱者たち』に参加しているんだから、サイモンキンバーグのMCU参加は不可能ではないよね????

 これはめちゃめちゃ期待しています。

 

 もう一点良かったのがアクションシーンの外連味が良いこと。

たしかにこれまでのX-MENシリーズも“調子いい時は最高にかっこいい場面を作る”ブライアンシンガーだけあって、印象に残るアクションシーンがいくつかありました。

でもそれも一つのキャラに対して攻め方が一辺倒で変化がないんですよ。分かりやすい例としては『FP』で新キャラのクイックシルバーのアクションがウケたら、『AP』でそのまんま同じことを繰り返しましたよね。笑

 サイモンキンバーグはずっと脚本を手掛けてきただけあって、冒頭からサイクロプスの能力を応用した兵器や、マグニートの無限マシンガンや細かい能力描写、ナイトクローラーの瞬間移動を避ける以外の使い方を見せるなど、全体的に新しく応用が利いた描写がふんだんに盛り込まれているところは最高でした。

 

 このように最後の最後まで“言いたいことは沢山あるけども”「嫌いになれない、いやむしろ好き!」というX-MENのスタンスが崩れることなく駆け抜けた事にはお疲れ様と言いたいです。

そしてMCUに合流した後もサイモンキンバーグに関わって頂きX-MENのアクションのあの雰囲気は残して頂きだいです。

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