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【ブックレビュー】『小説 天気の子』映画版との違いは?

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※ネタバレありのレビューとなります

はじめに

先日、こちら↓で『天気の子』についてのレビューを書きましたが、

www.hiro1224movieblog.com


公開と同時に発売された『小説 天気の子』の方を読み終えたので、まずはそちらの感想と、具体的な映画版との違いを書いていきます。

 

具体的な違いだけを見たい方はこちらの文章をクリックしてください

感想


原作がなくオリジナル脚本映画の小説版に対しては

(1)脚本家が小説を書いたいのか?それとも別の人物が小説の型に書き起こしたのか?
(2)単なるノベライズなのか?

大きくこの2点に注目しています。

 

amazonのレビューで【小説版の方がキャラクターたちの心理描写が細かい】という意見を目にしますが、それってめちゃめちゃ当たり前のことだと思っていて。


映画はセリフとセリフの間の行間を役者のお芝居から読み取るのに対して、小説では如何にキャラクターの心情を文章に起こすのかが肝になっているので映画と比べて心理描写が細かくなかったら本としてやばい気がします。

 

まず(1)についてですが、
これで小説版だけ別の作家に任せたりしたら、
その作家のカラーが新海誠のカラーと合わさって面白いことになったかもしれませんが、新海作品の小説版は『ほしのこえ』『星を追う子ども』『雲の向こう、約束の場所』以外は新海監督ご本人が小説版も執筆しています。
まあそもそも考えてみれば新海作品はナレーションが多いので、小説版はナレーションの部分がそのまんま行間書かれているので、こっちが期待していたほど監督自信の解釈やあたらしい発見のようなものは比較的少なかったと思います。

 

 

次に(2)についてですが、
たまに映画製作と同時に小説版を同時に作ると、映画の撮影をしていくうちに当初予定していたラストと変更されていき、小説版に当初のラストを知ることができたりするにが面白さですが、

今作はアフレコをしている段階(公開の3ヶ月前)に書き終えたそうですが、実際の出来上がった映画と比べて細かいところは変更されていますが、これといった違いはありませんでした。

 

ここまでくると、
「別に買わなくてもよかったかな〜」と感じますが、


一点だけ自分がプッシュしたい点があります。

それはRADWIMPSの音楽がないのに、
どこでどの音楽をかければ良いのか読者に教えてくれるところです!


いや、これは読む前から不安だったんですよ。
『天気の子』は前作『君の名は。』同様に街を歩いててあちこちでRADWIMPSのテーマが聞こえてくるくらい、とにかくRADWIMPSの音楽を使って宣伝しているし、
映画の中でも外連味たっぷりで音楽を使うわけです。


それでいて小説版はその重要な聴覚に頼る事ができないのですが、

小説内の章のタイトルで「愛にできることはまだ」「大丈夫」というものがあるのが面白い!
これって小説とサントラの発売が映画の公開と同時でしたので、
散々、cmで聞かされた音楽を聴くことができないという大きな不利を、どこでどの音楽を聴けば良いのか示すことで補っているあたりは面白かったです。


まあ、でも結論を言ってしまうと小説はマストアイテムでもない気がします。。。

何度も映画館に通うほど予算がなければお勧めします。

 

最後に一応、感想を書く上で何かに約立つかと思って読みながら映画と違う点に付箋を貼っていたので箇条書きで紹介していきます。

 


小説版と映画版のちがい

1.映画でのクライマックスから小説版は始まる。
穂高が東京に向かう2度目のフェリーから始まり、そこから1度目のフェリーにジャンプする構成になっています。

 

2.穂高の傷が殴られたものだとわかる
これは映画でも曖昧だったように、穂高がいったいに誰に殴られたのか不明瞭だったように小説でもそこは明かされていません。

 

3.もともと小説めいた文章を書いていた
穂高は記事を書くのは遅いが内容が悪くないと須賀さんに褒められたところで
穂高はまえから小説めいた文章を書くことがあった。

 

4.コーラ
映画ではCCレモンを飲んでいた穂高ですが、小説ではコーラでした。

 

5.夏美の細かい設定がわかる
大学4年の夏休みでみんなが就活の内定が決まるなか、
実家暮らしでそこまでお金が必要なわけでもないのにバイトの毎日だが、別にバイトに精を出しているわけでもない。
このモラトリアムであり続けようとする感情が読み取れました。

 

6.お母さんも気づいてるよ!
タワマンで子どもが空の魚に気がつくますが、
小説版でも母親も気がついています。

 

7.競馬のおじさんと乱数発生器
お天気ビジネスで競馬で馬券を当てるために晴れを以来した依頼主のおじさんが、
乱数発生器はランダムで1/2の確率で0か1かが決まるのに、たまに大災害などで多くの人々の願いによってその確率が狂うという説明がある。

 

8.でもそういうイメージなのよってセリフがない
須賀さんが娘に会うために電話でやりとりをするが、映画のようにタバコの話は触れてませんでした。
小説だと雨だから喘息だと外に出れないとだけ触れられています。


9.須賀さんの家系
代々政治家をやっているすごい家系だとわかる。

 

10.ラブホテルにて
ちゃんと穂高アダルトグッズを棚の奥に隠していました。笑
さらにカラオケの場面が小説にはありません。

 

11.陽菜が天を登る夢を須賀も見ていた
映画ではtwitterでみんながそれを見ているようでしたが須賀さんも見ていました。

 

12.須賀さんの涙のわけ
刑事に質問された時に柱に刻まれた娘の身長の横に、亡くした妻の文字をみつけ、会いたいけど会えない存在が、穂高にとっての陽菜と重なったからだそうです。

 

13.穂高を助ける夏美の心境
穂高を警察署からバイクチェイスを繰り広げるわけですが、
夏美は思春期の少年の背中を押す、つまり成長させることで自分のモラトリアムに対して決心をしていたようです。
まあ小説読まなくても、映画見てればなんとなくわかりますが。
(この小説版そういうところが多い)

 

14.具体的な法律がわかる
穂高が具体的にどの法律を犯したのか列挙されています。

 

15.西遷ラッシュ
東京の大部分が水没したことで家賃などの相場が変化し、
山手線は巣鴨、五反田の間をcの字で運行し、残りは水上バスで移動しているようです。

 

16.瀧くんは結婚した
とはいえ結婚写真に写っている奥さんを見て穂高は「指輪を買ったお店の人だ」とならないあたりから、結婚相手は三葉ではない気もします。
君の名は。』のハッピーエンドを奪ってまで穂高は幸せになったのかなと。

 

 


最後に


まあ、こんな感じですよ。笑
映画が腑に落ちず、小説版を読んでも同じところが腑におちませんでした。

長文読んでいただきありがとうございました。

 

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