いつもはスターウォーズの小説をレビューしていますが、今回は久々の映画レビューです!
テーマは『映画ハロウィンシリーズをおさらい+4月に公開の新作レビュー』!!
4月にシリーズの9作目が公開されるホラーシリーズ『ハロウィン』ですが、”きちんとした連続性”はないのです。
ここが初見殺しというか、敷居を高くしてしまっていると思うのです。
連続性の観点でいえば,
『ロッキー』シリーズなんかは連続性の強いシリーズと言えます。
ショートカットは出来なくもないが、”ロッキー1,2,3,4,5,ファイナル→クリード1,2”の8作品を順番で見た人に向けて作品が作られています。
それに対して水戸黄門などの連続性がほとんどないものもあったりしますよね。
それに対してハロウィンシリーズは少しわかりにくいシリーズ構成なんですよね。。。
近いやつでいうとゴジラのミレニアムシリーズみたいな感じです。
そして今回、『ハロウィン』シリーズの構成をグラフにまとめてみました。
このように9作品が大きく4つに分かれているのです。
つまり先に結論をいうならば今年の4月に公開される最新シリーズ9作目『ハロウィン』は1作目だけを予習しておけば、楽しむことができるのです!
今回はこの4つに分かれているうちのジョンカーペンターが制作した初期3作を私のレビューと供に振り返っていこうと思います。
ジョンカーペンターが製作したもの
まずこの作品を生み出したのが映画監督ジョンカーペンター。
まだ低予算の中、この『ハロウィン』第1作目がヒットさせ『ニューヨーク1997』『遊星からの物体X』などの作品によって名監督の仲間入りとなる、つまりきっかけのようなメモリアルな作品なわけです。
(ちなみにこの1作目のテレビで流れている映画はのちに監督自身でリメイクすることになる『遊星よりの物体X(1951)』だったりします。本人が映画監督を目指すきっかけになったからだそうです。)
彼がシリーズのうち監督をしたのは1作目だけで、2作目は脚本を手掛け、3作目は製作という形になっていますが、音楽の面では3作ともに監督自らが手掛けております。
これがすごいところで『ハロウィン』シリーズは間違いなくあの音楽が良い味を出していて、シリーズが沢山作られてテイストが変化していってもテーマソングを聞くことで「これこれ♪待ってました!」とファンとしてめちゃテンションが上がるんですよね。
そして4月に公開される新作でも超久々に監督が息子と共作という形で音楽を手掛けているのです!
いやー、新作はもちろん冒頭からこの音楽から入るのですが、
この時点で「今、俺はハロウィンの新作を観ている」という事を再認識してテンション爆上がりになりました。
というわけで彼が製作した3作品を振り返りましょう。
1.ハロウィン:1978
あらすじ
1963年10月31日 イリノイ州ハドンフィールド。
6歳のマイケルマイヤーズが長女を包丁で殺害する事件が発生。マイケルはまだ幼いという事で精神病院にて拘留される。
それから15年後、病院で大人しくしていたマイケルが病院から突如脱走。作業員のつなぎ、白いマスクと包丁を盗みベビーシッターのアルバイトをしていた女子高生ローリーストロードの命を狙う。
一方で以前からマイケルの凶暴性に危惧していた精神科医ルーミスが拳銃を手にしハドンフィールドにむかうのであった。
見どころ、感想
映画史からみても『エクソシスト』などの1970年代の”ニューホラー”と言われるホラー全盛期が、1980年代に入り怖さを控えめにしてユーモアや特定の面白さを作られた時代に突入しました。
その流れで『ハロウィン』はダリオアルジェントなどのイタリアのサスペンス、ジャーロの要素が合わさり、いわゆる巻き込まれ型サスペンスの側面がかなり強いのが印象です。
そして今となっては『ハロウィン』『13日の金曜日』『エルム街の悪夢』が三大ホラーとされていますが、これらの中では一番古くスラッシャー映画の明確な型を作ったのもこの『ハロウィン』第1作目であります。
このようにですね、映画の内容に言わなくてもその存在が映画史の中でも重要な位置にある傑作であることがわかります。
サスペンスというと今作の主人公ローリーを演じるジェイミーリーカーティスはヒッチコックの名作『サイコ』での絶叫クイーン、ジャネットリーの娘でもあるのです!
母娘そろって絶叫クイーンですね。
ちなみにサイコはシリーズだと2作目と4作目が好きです。
これは最近の日本でもそうですがハロウィンならばマスクを被って血の付いた包丁を持っていても違和感がないという、このハロウィンならではの怖さがあるわけです。
お客さんはマイケルが危険な人物だとわかっているのに、街の人々は気付いていないあのギャップ。これは今でも渋谷のハロウィンでやばいやつがいてもわからない非対称的な状況と重なるからリアルに怖いわけです。
そんで意外とマイケルかわいいのが家でイチャイチャしているカップルを殺さずじ~~っと眺めているんですよ。笑
そして長く見すぎて近くのプランターを割ってしまって存在がばれそうになる!!
このおっちょこちょい展開、しかも完全に童貞をこじらせていることがわかります。笑
まあ6歳から21歳までの多感な時期をずっと捕まっていましたからね。
そしてシリーズの中でも特徴的なのが”動機が不明”という点!
基本的にハロウィンシリーズはマイヤーズ家の物語という主軸があるのですが、それはあくまで2作目以降の話で今作は”動機が不明”というまま終わります。
一応、映画の冒頭の授業のシーンで国語の授業なんですかね?「運命」についての授業をしていました。
つまりローリーがマイケルに襲われる理由は具体的なものはなく、「死の運命」という抽象的な描かれ方をされているのがこの1作目の最大の特徴かと。
だからこそラストにルーミスが6発の弾丸をマイケルに放ち、2階から落ちたもののマイケルの死体はなかった、という今回は力で強引に強引に「死」を跳ね除けたというマイケルを死神のように描写しています。
もう一度書きますが、4月公開の新作はシリーズ2~8作目をなかったことにした1作目の正当続編ですので今作はマスト案件ですので是非観てください。
2.ハロウィン2(旧題ブギーマン):1981
あらすじ
ハドンフィールドの惨劇で生き残ったローリーは負傷していたため病院に収容される。そこで看護師からローリーはマイケルと兄妹の血縁関係者であることを知らされる。実はマイケルが15年前に事件を起こした際に、マイヤーズ家の記録は封印されまだ赤ん坊だった末っ子ローリーは養子に出されていたのだ。
そして銃弾を浴びたものの姿を消していたマイケルはローリー追い病院へと向かう。
みどころ、感想
監督はリックローゼンタールに交代しているのですが、脚本はジョンカーペンターですので正統続編になっているところが最大の見どころ。
ホラー映画だけに言えることじゃないんですけども、前作より派手にしたり、基本的なプロットは同じだったりすることってあるじゃないですか。
このハロウィン2はまず前作のエンディングから始まり、そのまま直後の物語になっているのが面白いです。
『13日の金曜日パート3』も前作の翌日という設定だったじゃないかと思うんですけども、あれは前作と違うキャンプ場で違うメンツを殺しに行きましたよね。
『ハロウィン2』は時間が続いているだけでなくキャストもそのままなんです。
だからシリーズ全体から見ても『ハロウィン』と『ハロウィン2』は前後編のような感じもするのも面白いところかと。
そして単に前作より派手にしようとするのではなく、前作から舞台をハドンフィールドの街から病院の中に限定する事でテイストを変えているので繰り返しになっていない。
しかも“動機が不明”という点を今作はとことんと掘り下げていて、『ハロウィン』という作品を「マイヤーズ家の物語」へと着地させる事にも成功しているのです!
この設定によってシリーズに主軸を通すことで、安定した続編を作る事が出来るようになったとも言えるでしょう。
ちなみにDVDのジャケットになっている場面が一番怖くて、
病院で同僚カップルがお風呂に入ってる時に彼氏が温度を調節するために隣の部屋に行くとマイケルに殺され、浴室にいる彼女を殺そうと手を伸ばすのですが、
なんと!
彼女はマイケルの手を彼氏の手と勘違いし、彼女はマイケルの手をペロペロするのです!!
ここで何も言わずに
(あ、ちょ、あ、違います)
みたいに為すがままに受け入れるマイケル!笑
ここでも童貞をこじらせている事が垣間見えます!笑
まぁそこからの彼女の殺され方がグロいのですが。
というわけで『ハロウィン2』も1作目と合わせて見てほしいです。
この後作られる456の三部作や78の二部作はこの『ハロウィン2』の続編という形式なので、今年の新作だけでなく他の作品も観たい方は2も外せないですね。
3.ハロウィン3:1983
はっきり言っておきますと、新作の予習に今作は必要ありません!
先ほども載せたグラフですが、
続編と関係がないどころか、タイトルが『ハロウィン3』なのに『ハロウィン2』とも関係がない、しかも1作目『ハロウィン』とも関係がない!笑
別に日本が邦題として『3』を付けたわけではありません。
IMDbで確認しても『ハロウィン3』となっています。
そしてさらに事態をややこしくしているのがジョンカーペンター自身が製作、音楽を手掛けさらにクレジットには表記されない形で脚本にも関わっているのです。
では一体どんな内容なのか?
あらすじ
病院で人々を惨殺した犯人の男は、逃げる途中で車と共に爆破され死んでしまう。だが、事件を追う医師はハロウィンのマスクを被った謎の男の存在を知る。
みどころ、感想
というわけであらすじの段階で「!!???」となりますよね。笑
実は今作には1作目『ハロウィン』がテレビで放送されているのです!
つまり過去2作とは別世界なわけで、完全に”ハロウィンの時期に起きた出来事”という点しか共通していません。
では何故このような続編になったのか?
私の予想ですが前作『ハロウィン2』のラストでマイケルは爆死するので続編の作りようがなかったのだと思います。
1作目で銃撃されても実は生きていた2作目はまだしも、爆死はさすがに厳しかったのかな。笑
そして前作で『ハロウィン』シリーズはマイケルとローリーの姉妹の物語へと着地したのに対して今作はケルト族の話が出てきたりと、きちんとハロウィンの文化を掘り下げていて、ある意味ちゃんとハロウィンをした映画だとも言えます。
でも正直『ハロウィン』シリーズにおいてはマイケル(ブギーマン)が見たいし、現に次作の『ハロウィン4 ブギーマン復活』でマイケルが再登場するので余計にこの3作目だけが浮いてしまっています。
ちなみに『ハロウィン6 最後の戦い』ではマイケルの物語にケルト族の文化を絡めたらおかしい事になっているので、このシリーズはそこに触れると失敗作になる法則があるかと。
まぁ法則もなにも観客が求めるハロウィンという文化は、ケルト族がどうのって話をじゃなくてコスプレをすると誰が殺人鬼なのかわかりにくいという点なので、失敗するに決まっているんですよ。
ただここまでディスってしまいましたが、
ゴア描写に関して言えばシリーズのなかでもかなりきつく気持ち悪い場面が多かったりします。
そして注意して頂きたいのが日本版DVDはゴア描写がカットされて修正されていました!!
YouTubeでたまたまゴアシーンを見ていたら自分が見たやつよりもグロくて驚きました。
ちゃんと見たいという方は動画サイトや輸入Blu-rayをお勧めします。
まとめ
今回はジョーカーペンター監督が関わった初期3作を紹介しましたが、フィルマークスのレビュー数の多さからしても1作目と2作目に関しては「知っとるわ!」と思われたと思います。
3作目はシリーズの中で順位を付けたら最下位ですが、両唇が削がれたり、虫が大量に体から出てきたりと1本のホラー映画とし見たら普通に楽しめると思います。なんといってもあの変なCM音楽が頭から離れなくなるので。
そして最初にも書きましたが、
今年の4月に日本公開される『ハロウィン(2018)』は続編の2〜8作目をなかったことにした1作目の続編という設定ですので、是非1作目は見て頂きたいです。
次回は人気はそこまでないが、
個人的に気に入っている『ハロウィン4 ブギマーマン復活』『ハロウィン5 ブギーマン逆襲』『ハロウィン6 最後の戦い』からなる”ジェイミー三部作”を紹介します!
あ、もちろん!
『ハロウィン6 最後の戦い プロデューサーズカット』版と劇場公開版の違いなども書きますのでよろしくお願い致します。
長文読んで頂きありがとうございます😊