※『アス』はネタバレ無しですが、監督前作の『ゲットアウト』のネタバレはあります。
今年はこれが一番楽しみ!っていう人も結構いるのではないでしょうか?
あのアカデミー脚本賞を受賞した傑作ホラー『ゲットアウト』のジョーダンピール監督による最新作『アス』!
ずっと前に輸入盤で見たのですが、日本公開まで1ヶ月という事でネタバレなしの紹介レビューを書いてみました!
『ゲットアウト』は『ステップフォードワイフ』の男女の関係を黒人と白人に置き換えたような話でしたが、今回は【ドッペルゲンガー】を扱ったホラーとなります。
まずはフィルマークスに書いてあるあらすじを見てみましょう。
アデレードは夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンと共に夏休みを過ごす為、幼少期に住んでいた、カリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れる。早速、友人達と一緒にビーチへ行くが、不気味な偶然に見舞われた事で、過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする。やがて、家族の身に恐ろしい事が起こるという妄想を強めていくアデレード。その夜、家の前に自分達とそっくりな“わたしたち”がやってくる・・・。
もうこの予告編から怖い!!
- (((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
まず前作『ゲットアウト』はもう1つのエンディングとしてバットエンディングが用意されていました。
それは主人公が白人たちの家から脱出したものの、警察に逮捕されてしまうシークエンスでした。
これを差し替えたのは自分としては賛否つけがたくて。
撮影している段階はトランプ政権ではなかったから、まさか現実がこの”もう一つのエンディング”と同じような世の中になるとは思っていないからこそ、せめて”映画の中だけでも”魂の解放を描きたかったのでしょう。
というわけで、
前作とは違って最初からトランプ政権下のアメリカについて描かこうとしたのが『アス』という作品だったのだと思います。
まず邦題が『アス』とそのままカタカナにしたわけですが、
これは『us』=”私たちに””私たちの”、つまりweの目的格を示す言葉ですが、
それと同時に『us』= united states=アメリカ
というダブルミーニングになっています。
これはネタバレにはならないと思いますが、
ドッペルゲンガーの家族は、何者か問われると「アメリカ人よ」と答えるのです。
だからこそ今作は『ゲットアウト』と違って、露骨にど直球に”アメリカそのもの”を批判しているわけです。
さらにもう一点、需要な要素となるのが1986年に行われた【Hands Across America 】。
これが映画内で説明が少ないので日本人にはピンとこないイベントですよね。
これは事前に知っておいた方が良いと思ったので、どのようなイベントだったのか調べてみました。
当時のホームレス問題に対して1人が最低15ドルを支払って自分が立つ場所を指定してもらい、5月26日の正午からみんなで手をつないでアメリカ大陸を東西で列を作り、アメリカ大陸の広大な土地には様々な人間が手を取り合って生きているということを感じるイベントでした。
このように『アス』の中でドッペルゲンガーたちは常に手をとりあっているわけです。
現在のアメリカにあるものは、
ではなく、
ですよね。
【United=統合、団結】ではなく【Divide=分断、格差】がアメリカ(us)の姿だということを痛烈に批判していることがわかります。
では彼らの正体はなんなのか、物語はどのような方向に向かっていくのか?
これは劇場でお確かめください。
正直言うと、、、
これらの物語はあの黒人が感じている気まずさを観客と共有できた『ゲットアウト』のクオリティは超えていないと感じましたが、ジョーダンピール監督はまだ長編2作目でこのクオリティですからね。
今後に期待です。
まずは『ゲットアウト』未見の方はそちらをお勧めします。
そして元ネタの一つの『ステップフォードワイフ』も傑作なので是非。
長文読んで頂きありがとうございました。