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【映画レビュー】韓国版シンゴジラ?『鋼鉄の雨』

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Netflixのオリジナル作品ではなく韓国では劇場公開したものを世界配給権をNetflixが買い取った形になります。

 

南北関係は融和モードで、朝鮮戦争が集結するかもしれない2018年。

普通に境界線が国境になって内戦集結なのかな?なんて思ってしまいますが、そんな今だからこそ見るべき一本ですし、

今年ベスト級の傑作だと思いました!

 

1.基本情報

原題:SteelRain

監督/脚本:ヤン・ウソク

出演:チョンウソン/クァクドウォン/キムガプス/チョウジン/キムウィソン/イギョンギョン/チョンウォンジュン/チャンヒョンソン

2.あらすじ

 北朝鮮軍閥によるクーデターが発生!

北の最高指導者は意識不明の重体のまま、境界を越え韓国へと逃げ込む!

この事態に韓国の大統領補佐官は米中などの大国と渡り合いながら、国内に潜伏している北の将軍と軍人と接触し、なんとか朝鮮戦争の再開を阻止しなくてはならない。

3 .シンゴジラとの違い

3-1.政府の描かれ方

今作のテイストは「韓国版シンゴジラといっても過言ではありません!

 

今作の主人公が韓国の大統領補佐官ってあたりもシンゴジラぽいのですが、政府の描かれ方、立ち位置はシンゴジラと大きく違うと感じました。

 

もちろん議院内閣制と大統領制は大きく違いますが、シンゴジラの政府は責任を取って辞めるのが嫌で誰も首相代理をやりたがらない姿が描かれました。

それとは違い今作で描かれる韓国は選挙で次の大統領が決まって、現大統領がレイムダックの状態なんです!

だから現場に2人の大統領がいて、そこが混乱を招くんですよ。

しかも新政権に足枷を作らず、現政権の終わりと共もにこの問題も解決したる!というヤケクソな強硬路線に走りやすいのです!

 

だからこそ周りを堅める主人公の補佐官が世渡りの素養を活かして、なんとか平和的に事態を収拾しなくてはならないという展開になるわけです!

縁の下の力持ちが頑張るのは同じでも、その動機は大きく違うんですよね。

 

3-2.日韓の観客が想起する大きな脅威の違い

シンゴジラには明らかに東日本大震災の経験が根底にありました。脚本の初期の段階だとゴジラはラスト石棺に封じ込められるという露骨にチェルノブイリにするつもりだったそうです。

 

最近だと大学に入ってきた新1年生に「震災の時にどこにました?」って聞かれたり、世代間を超えて皆が経験し、恐怖や不安、悲しみを共有したと思います。

 

これは今のアメリカ映画だったら間違いなく9.11同時多発テロが背景にあったり、ノーランなどの現在活躍してる若手イギリス人監督は幼少期のIRA爆破テロが影響しているとも言われています。

 

そのように韓国人にとっては休戦状態の朝鮮戦争がやはり不安として根底にあるわけです。しかも天災とは違い、人為的に突然島に砲撃したりします。

だからこそ韓国が大統領が変わる時に北朝鮮が行動に出るというのは、不運ではなくむしろ狙われるってことです。

 

(まぁ、関東大震災の時は首相の急逝により不在だったり、阪神淡路大震災の時も自社さ連立政権で首相は社会党の人だったり、東日本大震災の時も民主党政権でしたね。こんだけ自民党が政権を握ってるのに、他党が首相だったり、亡くなってたりと。。。

まぁ偶然なので仕方ないですよね。)

 

3-3シリアスの中にしっかりとエンタメ要素がある

そう!

この映画の一番良かった点はリアリティを追求しながらも”エンタメ要素”を多分に含んでいるんですよ。

完全に物語の中盤はバディムービーなんです!

主人公である韓国よ大統領補佐官と、意識不明の北の将軍を連れてきた北の軍人がバディを組んで解決にむかうのです!

 

しかも結構ユーモアがあって、

「同じ民族なのにフェンス1枚でこーんなに違うの?」っていう異文化の噛み合わないギャップが描かれます。笑

 

シンゴジラはあえてキャラ1人1人の描写を掘り下げず、ゴジラが”個”なら人間は"集団”だ!ってことを描くのが目的でした。

 

はっきりいって、

すごくリアリティあるシミュレーション映画なのに、この人間ドラマが御都合主義全開なんですよ。

「偶然そこにいた。」「偶然ある人の親戚があの人物だった。」みたいな。

 

シンゴジラではそんな事いっさいありませんでしよね。

「あの踏切の老人はうちのおじいちゃんだ!」みたいな笑笑

 

でもこの映画は御都合主義な陳腐な展開になっても描かなくてはならないのは、朝鮮半島の理想があるからだと思いました。

 

4.朝鮮半島の夢と理想

 

 

 

 

 ※ネタバレ注意

 

 

 

 

この映画は結果として、

韓国軍が米軍に頼ることなくクーデター軍を殲滅し北の将軍が回復次第返す事になります。

ですが「ある条件」北朝鮮に突きつけます。

そう、北の将軍と引き換えに北朝鮮核兵器の1つを韓国に譲ること

 

つまりラストは北の将軍を返すことで北朝鮮の政治的安定を約束させ、

核兵器をもらうことでアメリカなどの大国から解放されるウィンウィンな関係を結ぶのです。。。。

 

たしかに韓国はアメリカや日本のように経済成長によって今の地位を確保しました、それに対して北朝鮮核兵器を持つことで地位を確保していました。

社会システムは大きく違う両国でもお互いの利点を共有することが、南北統一へ向けた一歩なのではないか?

という朝鮮半島人の夢と理想がその答えにあるのだと感じました。

 

だからシンゴジラとは違ってご都合主義な大味なエンタメストーリーテリングをしたのは、非現実的なこのラストへ違和感なく運ぶためだと思うと、本当にすごい映画だと思いました。。。

 

そして朝鮮統一だけでなく、今の韓国の置かれている状況に対するメッセージもあると思うんですよね。この前、南北会談をする融和ムードを演出する一方で相変わらずアメリカは攻撃的な姿勢を保つことで話が進まないこの状況。北朝鮮の強気な姿勢も中国のアドバイスが背景に感じます。

ですが、もとは朝鮮半島の内戦なのに大国が代理戦争として参戦したことが事が大きくなってしまった原因でもあります。

 

だからこそ、

朝鮮半島のことは俺らの問題なんだし、同じ民族なんだからいがみ合わず一つになろうよ!」

という現在の韓国が置かれている状況に対してのメッセージのように思えました。

 

5.最後に

朝鮮戦争がどのような形で終結しても、その時はこのような映画が作られることはなくなると思います。

逆に島を砲撃するなど、南北関係が悪化している時もこの映画は必要とされません。

 

朝鮮戦争終結するかもしれない2018年だからこそ作る意義がある、2018年を代表するような作品だと思いました。

以上の事から私はこの映画を今年ベスト級の作品だと思いました!!

Netflixに入ってい居る方はぜひ観てください!

そして入ってない方にもぜひ見てほしいしDVD発売を期待します!!

 

いや、劇場公開してほしいです!

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